トラウマ・長期ストレスが影響した心身の不調と身体のシステム

梅雨明けし連日の猛暑で、環境に応じた体調管理を大切にしなければ…と思っております。

皆様、体調はいかがでしょうか。

今回の記事のテーマは「トラウマ・ストレスが影響した心身の不調と身体のシステム」です。

「トラウマ」は、過去の痛ましい出来事によって引き起こされる深刻な心的外傷です。

過去の痛ましい出来事の経験、長期的なストレスによって、私たちの脳(扁桃体や海馬・島皮質、前頭前野等)部位、他、自律神経系に様々な影響を与えます。

また、HPA軸※を通じ、てストレス応答を過剰に活性化させることで、感覚過敏、周囲への敏感さを引き起こすこともあります。

HPA軸とは その役割

HPA軸(視床下部-下垂体-副腎)軸は、身体の中でストレス応答の中心的な役割を果たします。
ストレスが感知されると、視床下部はコルチコトロピン放出ホルモン(CRH)を分泌し、これが下垂体を刺激して副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を分泌させます。
ACTHは副腎に作用し、コルチゾールの分泌を引き起こします。
コルチゾールは、体内のエネルギー供給を調整し、ストレスに対処するための即時の反応をサポートします。
わたしたちの身体は、ストレスに対処しその場を生き延びる自身のサポートをするために、自然にこういったシステムが働いてくれるのです。
しかし、長期的なストレスやトラウマは、このシステムを過度に活性化し、身体の恒常性=体内環境を一定に保つための生理的なメカニズムを乱してしまいます。

身体の恒常性

身体の恒常性というのは、身体が外部環境の変化に対応し、内部環境を安定させるために必要不可欠です。このシステムが適切に機能することで、私たちは健康を維持し、ストレスや病気に対する抵抗力を保つことができます。
例えば、急な温度変化や過度の運動、食事の摂取など、日常的に起こるさまざまな変化に対しても、体内環境が大きく乱れることなく維持されるのは、恒常性のおかげです。

HPA軸の過度の活性化は、この身体の恒常性=体温、血糖値、酸素濃度、pHバランスなど、生命維持に重要な各種の体内環境が常に一定の範囲内に保たれるように調整するプロセスまでにも影響します。

身体の恒常性=自己調整力にも働きかける心理療法

長期的な(慢性的な)ストレスやトラウマが身体に影響すると、自律神経系やHPA軸、ホルモン等含む身体の恒常性を崩し、心身への不調・症状へとなって現れることがあります。

心身の不調や症状に困っている中で、身体的な病気が見つからない場合、精神科でのお薬のみならず、こういった身体の恒常性=自己調整力に働きかけるトラウマセラピーが功を奏することがあります。
別記事になりますが、下記(長期的なストレス・トラウマが影響する心身症状について)ご一読くださいね。